弦分奏メモ(2013年7月28日、都内某所にて)


 セカンドヴァイオリン・いちろーたです。弦分奏をやったので、簡単に報告します。

バッハ・パート譜に間違いあり!

第2ヴァイオリン、1楽章の譜面

184小節目と印字されているが、正しくは183である。

 では、中身にはいっていきましょう。

弦分奏・裏テーマ「譜面を見るたびに新発見をする」

 今回の弦分奏の進行をするにあたって、誰にも言わない裏テーマを胸にいだいて臨みました。このテーマを実現すべく、各種実験を行ったのだということをふまえて、参加した人はこれを読んで復習してみることをオススメします。

欠席した皆様へ言いたいこと

 大事なのは「どんな演奏をしようか」ということを、毎回新しく作り出すことです。今回の弦分奏では「演奏を変えるために、どんな計画をして音を出せばいいのか」ということを、それぞれの楽曲のいろんな場所を使って試しました。その事例をいくつかご紹介していきます。

もろもろのご事情で欠席となってしまったとはいえ、この練習にご一緒できなかったのはほんとうに残念!というくらいに、演奏が激変しました。

(※個人的な感想であり、効果を保証するものではありません)

バッハの場合

 題材は3楽章の最後のほう…終止のフェルマータからさかのぼっていくほうが見つけやすいかな……「AdagioのあとからAllegroに戻るところ」から演奏し始めて曲の終わりのフェルマータまでを取り扱ってみましょう。

実験1. 「フレーズのスタートとゴールを決めてから演奏する」

 たとえば、曲の終わるフェルマータからさかのぼっていくと……AdagioのあとからAllegroに戻るところがあります。これをまるまる1つのフレーズとしてとらえてみるんです。

 「なーんだ。そんなの簡単!」って思いました?そう、そう思えたなら、この曲の他の場所でも同じようにフレージングを考えてみましょう。

 「えーっ、ムリムリ、難しい!」って思った場合は、演奏中に短めにフレーズを早めに完結させて、またその次の短めなフレーズを作って、それを遠くのゴールに届くようにつないでいく感じでやってみるのもおすすめです。

実験2. 「簡略化する」

 例えば、いまと同じ区間(フェルマータからさかのぼってのAllegroから始める)で、8分音符とか16分音符の細かな動きを「4分音符にしちゃう」……拍のアタマの音だけ演奏していく。

 「簡単じゃーん!」って思ったならオッケー。リズムは元の通りに思い描いておいて、出す音は拍のアタマだけ。

 これって、音楽の脳トレみたいなものです。指揮者やパートナーの持っているビートを、自分の世界に招き入れるようにしてみましょう……感じようとか聞こうとするのではないのが大事なところです。

実験3. 「強調する」

 例えば、いまのように簡略化した音形にしておいて、「1拍目だけを強調する」ということをやって演奏してみましょう。演奏してみたら、次の質問に答えてみてください。

どんな強調をしようとしましたか?

そして、それは、どのように強調されて聞こえましたか?

続・バッハの場合

強調しろ!

 同じ音が続いたら強調してもいいんじゃないでしょうかね?どう思いますか?

 4分音符も強調してみませんか?ここで大事なのが、どうやって強調するかです。どんな方法がありますか?

拍子を読み替えろ!

 4分の3拍子で書いてはあるんですが、1小節に6つの8分音符が書いてある場合には8分の6拍子っぽく捉えることができたりもします。

8分音符を区別しろ!

 記譜上はどの8分音符も、おなじ8分音符です。でも、意味の違いってあってもいいですよね?ぜひ隣り合っている8分音符の個性・意味の違いを見つけ出してみましょう。そして、その違いを表現できるような方法はどんなやりかたがありますか?考えてみましょう。

pをフォルテシモで演奏しろ!

 ピアノということは、あらゆる表現を穏やかに・なだらかに・平坦にしてゆくことに通じます。楽譜の中にある音楽を取り出してみる過程のなかで、フォルテシモで演奏することは、奏法に対する注意力を喚起するのに役立ちます。特に、早く演奏するのが無理なくらいに、楽器を鳴り響かせまくるフォルテシモで演奏してみると、奏法のことに限らず、どう演奏するのがよいのかを探るにも役立つとわたしは思っています。

まず考えろ!感じるのはその後だ!

 楽器を演奏する場合には、まず考えることが必要ではないでしょうか。わたしが音を出すまでにどんな手順を踏んでいるか、書き出してみます。

「さあ、演奏するぞ……」

出したい音を出すために……

ヴァイオリンを演奏可能な場所に持っていて……

出したい音高になるように左手を弦のある指板に向かわせて……

指が指板に触れたら指の動きを止めて……

弓の毛が弦を擦れるように右手を動かして……

弓の毛が弦を振動させ始めるときに、左手指も弦に触れさせておいて……

「弦の振動が始まった!」

演奏するために必要な3つのこと

音を終わらせる

音を始める

音を続ける

 この3つを繰り返していくことが演奏には必要です。

 場合によっては「音」=「沈黙」と置き換えても良いかもしれません。

 どう終わらせるのか、どう始めるのか、どう続けるのか……これを考えずして演奏はありえないはずなんですが、どう思いますか?

番外編:指揮者の指示を翻訳するのがトップの役目

 たとえば、指揮者が「重い!」と指摘したときに、トップ奏者にはやることがあります。指揮者が何をしたいために発した言葉なのかを考えて、奏法を選択しパート内で共有することが必要になります。

 テンポが重いのか、音色が重いのか、アーティキュレーションのことなのか、指揮に対する反応の鈍さを指しているのか……いろいろありえます。

いったんおしまい

 長くなったのでこのへんで。ほんとは、プロコやベト7でもアレコレやりましたが、だいたいこれでも十分じゃないかと。気が向いたら書きますね。

Sinfonietta Sorriso

シンフォニエッタ・ソリーソ 〜 「笑顔」の名を持つ小さなオーケストラ 〜 の公式サイトです。

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